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2023年4月19日

写真家から見たレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」

こんにちは、写真家のんちゃんです。

今日は世界で最も有名な絵画のひとつ、レオナルド・ダ・ヴィンチが1500年頃に描いた「モナ・リザ」について、私と一緒に考察してみましょう。私は普段はカメラを手に世界を捉える者ですが、この美術の傑作からは、写真家として多くを学ぶことができます。



1. ライティング

「モナ・リザ」はその穏やかで自然なライティングにより称賛されます。この絵画からは、ダ・ヴィンチが光と影の使い方に優れていたことが伺えます。具体的には、顔や体にかかる柔らかい光がモナ・リザの表情を引き立て、立体感を増幅しています。これは、我々写真家がポートレート撮影で目指す、自然な肌の質感や立体感を再現する手法と重なります。

実はほとんどの写真館がこのライティングを基本にしているんですよ。



2. 構図

「モナ・リザ」の構図も非常に興味深いです。中心に配置された彼女は視覚的なバランスを保つために、画面の中心よりもわずかに右に配置されています。この絵画の緻密なバランス感覚は、現代の写真家がルール・オブ・サーズ(3分割法)などの構図理論を用いるのと共通しています。バストアップのプロフィール写真を撮る際に実は顔の真ん中を中心にしない方がバランス良く見える感覚を500年以上前に気づいていたんですね。



3. 背景

背景の選択もまた、この作品の魅力の一部です。遠景に描かれた山や湖は、被写体のモナ・リザをより一層引き立てます。そして、この背景と彼女の間の空間的な奥行きは、写真におけるデプス・オブ・フィールド(被写界深度)の考え方を思わせます。

 しかも、この人物の輪郭部分のボケ感に関してはまさに天才とおり越して狂気だと思います。レオナルドはモナリザを描いてから約20年間このボケ感の表現を描くために書き直し続けたと言われています。

 いまカメラを持っている人はf値(絞り)を触ることで簡単にリアルなボケ感を描くことができます。おかげで現代人は誰もが簡単にデプス・オブ・フィールド(被写界深度)を体感することができます。しかし、肉眼のままで感じることは困難です。なぜなら勝手に脳が記憶と視覚を混ぜて映像を作ってしまうからです。

 その人間の錯覚を超えた真実を見極めることができるのが、やはり天才だということなんだと思います。



4. 表情の謎

最後に、モナ・リザの神秘的な微笑は、モナ・リザの微笑は、直視すると消えてしまい、周辺を見ると現れるという特性を持っています。これは、人間の視覚システムが中心視野と周辺視野で異なる情報処理を行っているためです。中心視野で直視したときには微笑を捉えられないが、周辺視野で見たときには微笑を感じる。これはまさに「捉えられない微笑」とも言えます。写真家としては、一瞬の感情や表情を「捉える」ことが重要ですが、ダ・ヴィンチは逆に「捉えられない微笑」を描くことで視覚的な謎を作り出しました。

 実は、これに近い表情が家族写真を撮る際のお父さんお母さんに起きることがあります。

子どもを中心に見つめるとほのかな笑顔なのですが、よくよく直接親の顔を見ると真面目な顔をしている。私はそこに深い愛情を感じます。もちろん満面の笑顔の親の表情も素敵ですけどね。




以上の考察を通じて、写真家としても「モナ・リザ」から学ぶことはたくさんあります。ライティング、構図、背景選択、そして被写体の表現は、我々が日々追求するテーマそのものです。この古代の巨匠から学び、今日の作品づくりに生かしていきたいと思います。


さらにモナリザには秘密の愛の物語があります。

その物語を知りたい方は是非こちらからご覧ください。



【写真家の視点】モナ・リザの秘密とレオナルド・ダ・ヴィンチの愛情の探求物語

https://youtu.be/L9ZwYO1s6oQ

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